見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2007/10/07

ベルナール・クシュネルってどうよ


フランスのベルナール・クシュネル外相が先月16日、イランの核問題をめぐり解決のためにはイランと「最後の最後まで協議は続けなければならない」としながらも、最悪の場合、「世界は新たな戦争に備えなくてはいけない」と発言したことで波紋を呼んだ(AFP 通信9月17日)。その後、発言はメディアによって誤解を招くものとなったとして訂正はしたが、EU独自の制裁などに含みを残した。
ベルナール・クシュネルは、もともと左派系の医師でサルコジ政権では最長老なんだが、さかのぼって見ると、あの「国境なき医師団」を設立した人なのだ。1980年に意見の相違からそこを離れ、「世界の医療団」を設立することになる。
1970年代末、ベトナムからボートピープルが南シナ海に流出するという騒ぎが世界中の注目を集めた。 クシュネルが設立に加わった国境なき医師団は、ボートピープルの救助が領海侵犯の恐れありとして行動を躊躇した。これに反対したクシュネルは友人らとともに大型船「イル・ド・リュミエール:光の島」号をチャーターし、海上をさまようボートピープルの救助に向かった。これを契機に「世界の医療団」は設立された。
「世界の医療団」の使命:(wikipedia)
正義のない治療はなく、社会のおきてのない持続的援助はありえない。効果的にその支援活動を実施するのに、世界の医療団は医療を超えた「証言」という手段に訴えていく。いかなる政治的・イデオロギーにも拠らない独立した立場において、医療へのアクセスの妨げとなっているもの、人権や尊厳を侵害するものを、医療を通じて証言していく。 さらに、単に医療にとどまらず、医療アクセスの障害となっているもの、人権ならびに人間としての尊厳の侵害を証言し、世論に訴えるアドボカシー活動も世界の医療団の重要な使命のひとつである。

◇フランスのベルナール・クシュネル外相は今月2日、対ミャンマー追加経済制裁について、国内石油大手のトタル(Total)にも例外なく参加を求めるとの考えを示した。ラジオ放送局Europe1の番組内で語ったもの。
クシュネル外相は「経済制裁が必要となった場合には、当然ながらトタルも例外ではない。わが国は現在、経済制裁の発動可否について検討中であり、いかなる企業も例外とはならない」と明言した。
一方で外相は「海外企業が撤退しても、ミャンマー資本や中国資本の企業が新たに参入してきた」過去があることを指摘し、軍事政権による市民弾圧を食い止めるには、欧米諸国による経済制裁よりも、アジア諸国による圧力のほうがより効果的だとの見方も示した。
サルコジ大統領も先週、トタルを含む国内企業に対し、ミャンマーへの新規投資を凍結するよう要請していたが、完全撤退については求めていなかった。(AFP通信10月2日)
◇VOA(ヴォイスオブアメリカ)は、トタル社のような外国企業がミャンマーの軍政維持に一役買っていると指摘する。
◇ロイター通信は、トタル社が軍事政権を利している最大の外国企業の一つであると伝える。
◇オランダで左派政党が中心になってトタル(エルフもその傘下)のガソリンスタンドに対する不買運動が起きているとインターナショナル・ヘラルドトリビューン紙は伝えている。
◇英インディペンデント紙は、トタル社のみならずフランス政府への批判が高まっていることを示し、人権団体が指摘する児童就労の問題(会社側は否定)についても取り上げた。

◇ミャンマー南部でガス田を操業し、隣国タイの発電所にガスを供給しているトタルは、約270人の現地労働者が劣悪な労働環境に置かれている事実を容認しているとの非難を浴びている。
◇フランス石油会社トタルがミャンマーのヤダナ・パイプライン建設に関わる訴訟で和解:
トタルは強制労働に関わったとして2002年フランスのナンテール地方裁判所で8人のミャンマー人に訴えられていた問題で、11月に両者が和解にこぎつけたとのプレスリリースを発表した。
ヤダナの天然ガスパイプライン建設の際にミャンマー軍などによる強制移住、強制労働などの甚大な人権侵害が行われていることが批判されており、同社はその建設に投資し推進していたことから、強制労働で責任を問われていた。また、ベルギーの裁判所でも人道に対する罪で訴えられていたが、2005年4月、原告がミャンマーからの難民でベルギー国籍を持たないため、管轄権がないとして訴えを退けられた。
2003年、一連の批判騒動に対処するため、トタルはコンサルティング企業BK Conseilを雇った。BK Conseilの経営者は人道活動の世界で顔が効く。彼はミャンマー現地で調査を行い、開発事業から撤退するよりも批判を抑えるためのPR活動を拡大することでイメージ改善に力を入れるべきだと報告書でトタル社にアドバイスした。(Total社サイト:報告日2003年9月29日、報告書を書いたのはBK Conseilの経営者、企業コンサルタントのベルナール・クシュネル)
今回のミャンマーの僧侶などのデモ行進に対する軍政の武力制圧でのフランスの制裁措置について、トタル社側はミャンマーでの事業を継続する理由として、「フランス企業が撤退したら倫理面ではるかに劣る中国その他の企業が投資を拡大し、ビルマ国民にとって事態はさらに悪くなる」と説明している。そしてまたフランス外相も「トタル社はミャンマー軍事政権と事実上協力関係にある」との批判を一蹴して、フランス最大・世界第4位の天然資源開発企業であるトタルを擁護した。
おわかり?フランスの外相とは、2003年トタルに事業を続けるよう提言したコンサルタント会社の社長、ベルナール・クシュネル氏ってことだよ。

また、ヤダナ・パイプライン建設に関わる人権侵害では米国のユノカル社が2004年12月に住民への補償および医療、教育などの整備のための資金提供などを行うことで原告と和解している。
ヤダナ・パイプライン建設事業には仏トタル社の他に米シェブロン社も参加している。米国のライス国務長官が1991年からブッシュ政権入閣直前までシェブロンの重役だったのはよく知られた事実だ。
さて、お待ちかね!チェイニーがCEOだったハリバートンは、90年代からミャンマー軍事政権を顧客に抱え、ヤダナ・パイプライン初期工事に携わった。シェブロン同様、ハリバートンもまた「対ミャンマー経済制裁の適用外」という特別待遇を受けている。CNNの番組「ラリー・キング・ライブ」でこの件を問われたチェイニー副大統領は、「この世界は民主主義だけで成り立つわけではないんだ。」と言ってのけている。

◇ミャンマーにおける人権侵害関与をめぐるユノカル社事件が和解合意する:
ミャンマーの天然ガス・パイプライン建設の際の強制労働、強姦、殺人などについて米国の石油会社ユノカルを米国の連邦裁判所に訴えていた事件で、12月、当事者が和解に合意した。ユノカルとその子会社は1992年、ミャンマーの国営企業とミャンマー沖ヤダナ油田の天然ガス採掘でジョイントベンチャーを行っていたフランスの石油会社トタルからプロジェクトの28%を取得し、テナセリム地方を通して天然ガス・パイプラインを建設していた。その際、ユノカル承知の上でミャンマー軍がユノカルのプロジェクトに対して警備その他のサービスを提供していた。
原告のテネサリム地方の住民は、パイプライン建設での強制労働、軍による拷問、強姦、殺人などで1996年ロサンゼルスの連邦地裁に訴え出た。翌年、同地裁はミャンマー軍と国営企業に対する訴えは主権免除により却下とした。2000年にはユノカルに対する訴えも直接、人権侵害に関わったことを示していないとして退けた。これに対し、原告側は控訴した。
原告は外国人不法行為請求法などの法律を根拠にユノカルを訴えていた。同法は米国外で起こった外国人に対する不法行為について、それが国家機関によるものであれ、非国家組織体の行為によるものであれ問わずに米国の連邦裁判所に管轄権を付与する法律だ。フィリピンのマルコス元大統領やボスニア・ヘルツェゴビナのカラジッチ元セルビア人指導者などに対する訴訟で適用されてきたが、最近は多国籍企業の海外における人権侵害に対する救済の手段として注目を集めている。
2002年9月、第9巡回控訴裁判所は、ユノカルの人権侵害の教唆・幇助を問えると判断した。一方、米国政府はそのような訴訟が多発することが米国の外交政策を損なう懸念があるとして、同法の適用に消極的な意見を裁判所に提出している。
2004年12月13日に公表された和解では、ユノカルがテネサリム地方の住民に補償金を支払い、生活条件、医療、教育などを改善するためのプログラム開発資金を提供することになっている。

今回、ビルマに関する記事をあれこれ読んでいて戸惑ったのは国名表記と元首都ラングーン表記の違いだった。NYタイムズを初めとするアメリカのニュースはほぼビルマ表記となっている。そこで google:
1989年、共産主義体制の崩壊にともない国名が「ビルマ連邦(Union of Burma)」に変更となったが、暫定軍事政権が国を支配するとすぐにこれを「ミャンマー連邦(Union of Myanmar)」に変更。同時に、首都ラングーンもヤンゴンに改名された。
アメリカ合衆国、イギリス、オーストラリアなどは、暫定軍事政権を承認しないという意味を込めて「ビルマ」の名称を使用し続けている。EUのニュースなどでは両方併記となっている。
ここでわが国は、ビルマを軍事政権が支配して一番にこれを承認したのが日本だった。当然「ビルマ」はあっさりミャンマー表記に変わった。おまけに、諸外国からあんまりうるさく批難されたもので仕方なく2003年に援助を停止するまで、日本が最大のミャンマー軍政の援助元だった。「経済活動と政治は別問題」と最近誰かさんが言いました。でも、世界をちょっとでも見れば、ひとつにつながって、がっちりタッグを組んでることは歴然としています。世界はまさにひとつのことのために動いているのです:「金儲けがすべて」

写真は、トタル社のウエブサイトにあるビルマ、ヤダナ・パイプライン事業のバナー。英語&フランス語圏のウエブにはビルマとミャンマーが併記されている。