見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2008/05/25

戦争は石油で起きるんだ、バカもん


現在、ペルシャ湾には、空母ハリー・トルーマンと空母エイブラハム・リンカーンの2隻の航空母艦が配備されている。
イラク戦争が始まったとき、サダム・フセインが石油の輸出をドル建てからユーロ建てに替えたこと、憶えているだろうか。いろいろ論議を呼んだ開戦の動機のひとつに、この「ドルの防衛」があった。
つい先頃、イラン石油省の高官がイラン国営TVで、「米ドルはわが国の石油取引から完全に排除されることになった。原油輸入国はこれから、ヨーロッパではユーロ建て、アジアでは日本円建てで取引することで合意した」と発表した。また、チェイニーがサウジに行った翌日、サウジ政府は、「イランのブーシェル原子炉が攻撃された場合を想定して、突然ふりかかる放射能汚染に対応する国を挙げての対策」を発表した。
わたしたちは、「またバカなアメリカ人!」と思うだけだが、イラク開戦前に「イラク=アルカイダ」を繰り返し唱え、国民の脳にインプットさせたウソへっちゃら大統領が4月10日の演説で、「今世紀、アメリカにとって最も脅威となる2つの勢力が、いまイラクに集結している。それはアルカイダとイランだ」と訴えたのだ。この「イラン=アルカイダ」、「イラン=アルカイダ」のチャントが始まっている。
ジャーナリストのジョー・ローリアがハフィントンポストに書いているーー。

◇世界の文明人は石油を支えとする。世界は石油を使い果たしている。われわれがどれほど終わりに近づいているか、石油会社や政府は真実を伝えていない。チェイニーは、ハリバートンのCEOとしてロンドン石油学会で演説した1999年には、石油のピーク時の供給について承知していた。2010年にそれが来ると彼は予言した。そのあと、石油を使い尽くすのは時間の問題だ。残存する石油を支配する者が、誰が生きて誰が死ぬかに決着をつける。
この石油の60%がカンサス州の大きさの中東三角地帯内の領域にある。スピーチでチェイニーは言った。「世界の石油、しかも原価の安い石油の三分の二を有する中東は、究極の貴重な目的物がまだ眠るところだ」と。
この小さな中東のトライアングルは、クウェート、カタールとその首長国といっしょに、サウジアラビアの北東の油田とイラク、イランの南西部を一周して取り囲む。米国はすでにイラクを支配する。他の国々は愛想のよい友好的政府だ。
イランは例外だ。米国はいまイランを包囲する。
カンサスの大きさの地域を支配するのは米軍にとって難問であるはずがない。ただし、そこは人口が密集している地域で、三角地帯の人びとの多くがアメリカ人にいて欲しくないので戦うつもりでいることを除いての話だ。
アメリカに代替エネルギー源が必要なことは、少なくともこの30年、よく知られてきている。だが、ほかのもっとましなエネルギー計画の代わりに、われわれは、死にゆくビジネスに執着するオイルメンによってイラクに侵略してしまう。そして最後の一滴にしがみつくため、多数の人びとを殺すのをいとわない。米国はその地域から決して離れていない、またはイラクから一度も撤退していない。居つづけることではマケインは正しい、だが100年は長すぎる。石油は100年も長く存続しない。
次はイランだ。リーバーマンは先週、ペトレイアスにつけいって、イランが支援するグループがイラクで何百ものアメリカ人兵士を殺してきていると証言させた。金曜日、ゲイツはイラクでのイランの影響力を「有害」と呼んだ、そしてブッシュは、もしイランがイラクにちょっかいを出し続けるなら「そのときはわれわれが彼らを処罰する。」と言った。彼らは上院と国連での決議を用いた戦争の事情をでっちあげている。米国が占領しようとしているのは、イラクとの国境から150マイル入ったイラン西部だけのはず。そこにイランの石油はある。だが、イラン革命後30年のテヘランに傀儡みたいなイラン国王を復活させたにしても、米国はイランで卑劣な戦闘をもてあますことになるだろう。
サウジはイラン政権が消え失せるのを平気で見ているはずだ。だが、サウジもまたリストに挙がるかもしれない。米国はいつかそのうちサウジアラビアもまた不安定にさせて支配を必要とするかもしれない。1970年代ニクソン政権下でキッシンジャーにサウジ油田の米国の侵略と占領を立案する計画があったのを、数年前にウォールストリートジャーナル紙が暴いた。それらの計画が久しぶりに取り上げられかねない。
アメリカの石油戦争は、強みではなく、弱みから着手されてきている。アメリカ経済はぐらついてきており、残存する石油の支配なしには崩壊してしまう。アメリカのエリートにだけ十分な石油が残るとき、どんな場合でも大規模なカオスになるはずだ。
どちらも核兵器を所有して代替エネルギーを持たない石油で餓死する中国とインドを、アメリカに屈服させるか戦争を始めさせることになる。
それはもう欲深いとかの話ではない。生き残りをかけたものなのだ。この国の指導者らはあまりにも欲張りすぎて、石油からソーラー、風力、地熱、他の再生可能な代替エネルギーに移行できないでいた。おそらく今となっては遅すぎる。イラク侵略と占領に注がれた何兆ドルもの大金を他の再生可能な代替エネルギーに投入していたら、世界にはかすかな望みがあったかもしれなかった。今となっては確信からはほど遠い。
確かなのは、これらの戦争が民主主義で起きるんではないということだ。大量破壊兵器で起きるのではない。来るべき戦争もまったくイランの核兵器プロジェクトで起きるのではない。石油で起きるんだ、バカもん。
(The Huffington Post 24 May 2008)

写真は、イランを威嚇すると同時に、サウジには濃縮ウラン購入の仲介を誓約したブッシュ大統領とサウジのアブドラ国王