見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2009/01/13

戦争という怪物


イスラエル防衛軍がパレスチナ自治区ガザに侵攻してすでに3週間。国際人権団体ヒューマンライツウォッチによると、半数が子どもの人口150万人がひしめく世界で最も過密地区のひとつ、ガザで、イスラエルはクラスター爆弾と同様、故意に人のいる近くで発射するのが禁じられる白リン弾を使用してきており、国際法違反を指摘されている。また、劣化ウラン弾の使用も懸念される。
以下は、2003年11月からイラクのファルージャに入り、米軍の市民への無差別攻撃、病院への攻撃と破壊、難民に追いやられた人々の姿を世界に向けて発信し続けたことで知られる、独立系ジャーナリスト、ダール・ジャマイルの記事から抜粋です。

◇戦争という怪物 by ダール・ジャマイル
6 January 2009
http://dahrjamailiraq.com/the-monstrosity-of-war#more-1405
http://www.truthout.org/010609A

AFP通信(Agence France-Presse)は、土曜日、イスラエル軍がガザに侵攻を開始したとき、最初に殺されたのはパレスチナ人の子どもだったと報じた。

人口の半数が17歳以下の150万のパレスチナ人の故国、この世界で最も人口が密集した地域のひとつに対し、イスラエル政府は進行中の空と地上の攻撃を加えてきている。

「標的を”弱体化させる”つもりで、ここ最近ガザの通り沿いに配備された砲兵中隊がハマスの標的と国境近くの通行自由エリアに砲撃を開始した午後4時頃から、地上侵攻が大規模な砲兵隊の砲撃で始められた」と、この猛攻についてイスラエルのハーアレツ紙は書いた。「数百という砲弾が発射された、これには通行自由なエリアを狙ったクラスター爆弾が含まれる。」

11月4日イスラエルはガザへの軍事攻撃を開始して、ハマスが長いこと遵守してきた休戦協定を破る。国連難民救済事業と世界食糧援助プログラムによってガザに届けられる食糧の供給を妨げることは続けられた。次の犠牲はガザの発電所を動かすのに使われる決定的な燃料配達の便宜だった。最後にイスラエルはジャーナリストと救援の働き手がガザに入るのを禁止した。

12月中旬、イスラエル訪問中に国連人権調査員リチャード・フォークがイスラエルのガザ封鎖を「人道に対する犯罪」で、「目に余る大規模な国際法違反」と呼んだことについて特に言及するのは重要だ。

プリンストン大学の国際法名誉教授で、パレスチナ自治領の人権について国連特別報告者のフォークは、「人道に対する犯罪に等しい政策によって集団懲罰にあっている一般市民を守ることで合意の責任ノルマ」に訴えるよう国連に促した。フォークはまた犯罪訴追手続きの可能性を求めてイスラエル軍と文民職員の調査を国際刑事裁判所に求めた。

このせいで彼は、イスラエルから追放される前にテルアビブのベングリオン空港で20時間拘留された。

KPFAラジオの特派員サーメフ・ハビーブによると、「ガザ北部の町バイトラヒアで(アル・アタトラ一家の)17人あまりが殺された。その中には数人の子ども、2人の兄弟、二十歳の若者と一発のロケット弾で全員が殺された多くの年老いた男性たちがいた。」ハビーブはまたイスラエル戦闘機が浄水場と十数件の家屋を攻撃し、白リン焼夷弾兵器の使用と少なくとも15のモスクが爆撃されたことを報じる。モスクに対する攻撃で十数人が殺されてきている。イスラエル外相ツィピ・リブニは根気よく説明する。「ですが、戦争は戦争です。これらのことが起こりかねない。これは私たちの意図ではないが、どのような類の一般市民の犠牲者も完全に避けることはできない。しかしこの責任はハマスにある。」殺戮は、イスラエルによってガザに押しつけられる2年間の経済封鎖から引き出される血も涙もない食糧と医療品の欠乏のせいでパレスチナ人がこうむってきている難儀をいっそうひどくするだけだ。

2006年、イスラエル首相エフド・オルメルトの顧問ドブ・ウエイズグラスは封鎖についてこう言った。「この考えはパレスチナ人にダイエットを課することになっているが、彼らを餓死させることにはならない。」

救援は目的地に届けてきているというリブニからの主張にもかかわらず、ガザに行きわたる救援で「決定的な隔たり」があると国連は警告してきている。

UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)のスポークスマン、クリストファー・ギュネスは、人道的危機は存在しないという主張を非常識でばかげたこととして却下する。彼は次のように説明している。「私が働く組織UNRWAには現場で推定9000人から1万人の働き手がいる。彼らはガザで普通の一般市民と話をしている。人々は苦しんでいる。殺されている人たちの四分の一が一般市民(負傷者の大多数が一般市民)だ。なので、人々が一般市民の犠牲者を避けるためベストを尽くしていると言うのを聞くと、実際非常に不誠実に響く。」

軍事行動の最中、米軍が定期的に街を封鎖して、いかに電力、食糧、水、医療品を分離するか、私はイラクから報道してきた。2003年3月の米国のイラク侵略は12年半のその国に対する計画的大量虐殺的制裁のあとを襲ったのを忘れないように。その制裁は50万人の子どもの命を奪った。イラクの人びとはガザの人びとのように、「ダイエット」を課せられていたのだ。

ガザに戻って、国際赤十字委員会は日曜、赤十字の医療救急班が3日間イスラエル軍によって自治領に入るのを妨害されてきていると言った。ここでもまた、イラクでの情況に薄気味悪いほどよく似たこと起きている、特に2004年の米軍の二度のファルージャ包囲の間、医療と救急班は街に入るのを許されなかった、そしてすでに街に入ったチームは負傷者を救助しようと試みるたびに軍によって標的にされた。

救急車が負傷者に到達するのをイスラエル戦車が妨害すること、そして3人の救急医療士と救急車のスタッフが家族を救助しようとする間にイスラエル軍によって殺されてることを、KPFA特派員ハビーブが報じてきている。オックスファム援助機関もまたそのできごとについて報告した。「ジュネーブ協定のもと、イスラエルには医療人員が負傷者のもとに行くのを許し、安全な通行を確保する義務がある。代わりにイスラエルは彼らをごく普通に標的にする。」

理屈では、国際法で保護されている医療人員を意図的に標的にするとの、教養が高いとされる政府に対する非難は、戦争をじかに体験してきていない人々には信じがたく衝撃を与えることなのに私は気づいている。だが、私のように折に触れて幾度かそんな戦術をじかに目撃してきている人は他にいる。2004年ファルージャで米軍が標的にするのを見てきたように、私は2006年夏にレバノン南部の彼らの攻撃の最中にイスラエル軍によってこの戦術が使われるのを見た。

戦争の狂気はそんなもの。

ベテラン・ジャーナリストのロバート・フィスクは、戦争を「まったくダメな人間らしい心的態度」と説明する。

擁護できない危機の本質にくじかれ、国連での米国の拒否権に明らかに怒った国連総会議長、ニカラグアのミグエル・デスコト・ブロックマンはイスラエルの行動を激しく非難してこう言った。「極悪非道だと考える。他に呼びようがない。またもや世界は、安全保障理事会の機能不全を落胆して注視している。」

「ガザ破局の見解」と題した最近の記事でフォーク教授は書く。「ガザの人びとは非人間的な地政学上の犠牲者:何ら攻撃的な軍事能力にも欠け、F16爆撃機やアパッチヘリによって開始されるイスラエルの攻撃に対しまったく脆弱な、本質的に無防備な社会に対してイスラエルみずから「総力戦」と呼ぶものを引き起こす。これはまた、大虐殺が続けられ死体が山積みになるのに、ジュネーブ協定で今後課せられるとする国際法の目に余る違反がおとなしく脇に置かれるのを意味する。追加として、またもや国連が役立たずなのを暴かれるということだ。最後に、これは世界中で一般の大衆が金切り声を出して行進できても、まるで何もなかったかのごとく人殺しが続くのを意味する。毎日ガザで鮮やかに叙述される写真は、特に外交指揮に接近する軍事優先主義者が少ないのを含め、国民に変化を約束した新しい指導部を有するここアメリカでスタートする、国際法と国連憲章の権威への一新する取り組みを懇願するものである。」

▲独立系ジャーナリスト、ダール・ジャマイルは、「Beyond the Green Zone: Dispatches From an Unembedded Journalist in Occupied Iraq」(Haymarket Books, 2007)の著者。この4年にわたり、レバノン、シリア、ヨルダン、トルコと同様に、8ヶ月間占領されたイラクから報道した。
米テキサス州ヒューストン生まれ。2000年、ブッシュが大統領職を「盗んだ」ことで、いっそう行動に駆り立てられる。9.11に対する軍事報復、イラク侵略に反対する活動を行う。アメリカの主流メディアが不法なイラク侵略と占領の真実をほとんど伝えていない中で、真実を伝えようとみずからイラクに入る。2003年11月、ジャマイルは自分のウェブログ「Iraq Dispatches」でイラク現地報告の連載を開始。2004年1月には、米軍のイラク人拘留者に対する拷問・虐待について、いち早く報じる。同4月と11月には米軍による包囲、市民の虐殺が行われたファルージャについての記事を多数発信。とりわけ、ファルージャでのイラク人犠牲者の姿を数多くウェブサイトで公開し、「一般市民の犠牲は少ない」という米軍とイラク暫定政府の宣伝が全くのウソであることを暴いている。 
現在、ジャマイル自身のウェブサイトの他、米国の「ピープルズネットワークス」が運営する「ニュースタンダード」紙などに寄稿する。記事は、ポーランド語、ドイツ語、オランダ語、スペイン語、日本語、ポルトガル語、アラビア語に翻訳されている。