見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2009/05/20

ヘラクレスが墜落炎上


京都に行ってきました。毎年、4月中旬から下旬に行くんですが、今年は事情があって5月中旬にずれ込みました。
ホテルから歩いてすぐの京都御所には朝食前の散歩に行きます。ちょうど桜がそろそろ終わりかしらという例年から、新緑だけの景色に移っていて、京都御所ばかりか、宇治も上大崎(天王山入り口)も、力みなぎる緑で輝いていました。
帰りの日、京都のクラブで、グランドマスターフラッシュのライヴがある!のを発見。
その日ドライブ中に聴いた京都FMラジオ曲の選曲はグランドマスターフラッシュ。
「ホワイトライン」は別バージョン(ディランディラン)でしたが、昨日のプリンスの3枚組新譜からの選曲といい、京都FM1局はなかなかのものでした。

で、本日、ブルームバーグにこんなコラムがあるのを見つけたので、ちょっと

◇ラップダンサーとコカインが信用危機の元凶なのか
 by マシュー・リン

今回の信用危機の原因をめぐって、さまざまな理論が取りざたされている。ノーベル賞受賞者たちはそれぞれの説を執筆するのに忙しい。

あるグループが正解を知っていると主張している。ロンドンの出版界だ。彼らも強欲や刹那(せつな)主義的考え方ではたいていのトレーダーに負けないが、ともかく、出版界に言わせれば、今回の危機で諸悪の根源はラップダンサーとコカインだということになる。

英国の本屋に行くと、金融業界の享楽主義的行き過ぎを描いた本が書棚にあふれている。「シティーボーイ」や「ビンジ・トレーディング」などの作品では、ストリップクラブでの夜の過ごし方や麻薬で勢いをつけてのトレーディングなどが描かれる。出版社は流行に飛びつき、同種の本が現在、多数準備中だ。

ある意味では罪のない楽しみだと言える。20代の若者があり余る金を持って夜遊びに明け暮れる話はおもしろい。だが、これらの読み物は実は有害だ。過去1年に起こった危機には深い根があり、それはラップダンサーやコカインとは何の関係もない。

こういう書籍が大量に出版されたことに気付かずにいることは不可能だ。先駆けは元ドレスナー・クラインオートのアナリスト、ジェラント・アンダーソン氏の作品だった。
同氏は「シティーボーイ」という自身のコラムを本にまとめ、大成功を収めた。同書は市場のエロチックな一面を部外者に垣間見させた。

・後続

その後、ゴールドマン・サックス・グループ出身のテツヤ・イシカワ氏の「How I Caused the Credit Crunch(どうやって信用危機を引き起こしたか)」が出た。フィクションの体裁を取っているが、市場参加者らの生活をほぼそのまま描いたものだ。セス・フリードマン氏の「ビンジ・トレーディング」はフィクションと取り繕うこともしていない。副題、「The real inside story of cash, cocaine and corruption in the City(シティの現金とコカインと腐敗に関する本物のインサイドストーリー)」が示す通りだ。

・9万部

電話インタビューに応じた出版エージェントのアンドルー・ローニー氏によると「今人気があるのは、現実逃避の本と何が起こっているかを説明しようとする本の2種類」なんだそうだ。出版社の狙いは見え見えだ。業界誌ブックセラーによれば、「シティーボーイ」はこれまでに9万部を売った。

これらの書物はどれも、報酬をもらい過ぎ、シャンペンをガブ飲みして、ナイトクラブのトイレでコカインを吸っていた若いトレーダーたちが危機を引き起こしたという見方を、暗に読者に押しつける。

それにもひとかけらの真実はある。ロンドンは他の金融センター同様、享楽主義の都となっていた。麻薬の売人やラップダンサーは金融バブルで荒稼ぎした。それを言えば、不動産仲介業者もシャンペン販売業者も高級車ベントレーのディーラーも同じだ。

そうではあるが、享楽主義は、2003-07年の偉大なブルマーケット(相場上昇)がもたらした数多くの症状のひとつにすぎない。稲妻が雷の原因でないのと同様に、享楽主義が信用危機の原因なのではない。

・需要と供給

これらの著者を責めるのは酷というもの。結局、彼らはトレーダーなのだ。ウォール街での何年かは少なくとも、需要と供給の法則を彼らに教えたことだろう。これらの書物には明らかに需要があるから、彼らはそれを供給することで暮らしを立てているのだ。

著者のひとり、イシカワ氏は電話インタビューで、これらの書物について「信用市場に関する退屈な本を、出版社にとって魅力のあるものにした」と語った。

ただ、それがすべてではない。過去2年で世界経済を席巻した危機には、数多くの原因がある。その多くは理解しがたい。ボーナスに重点を置いた銀行の報酬システムも原因のひとつだし、中央銀行の金融政策もそうだ。中国と世界の間の貿易収支の不均衡、その結果としてだぶついた巨額資本が問題の根源だったかもしれない。

ラップダンサーとコカインは、それらについて読むには面白いが実は危機とあまり関係がない。信用危機の本質を正しく認識することは重要だ。そうしなければ、同じ過ちをまた繰り返すことになろう。

▲マシュー・リンは、ブルームバーグ・ニュースのコラムニスト
(Lap Dancers, Cocaine Didn’t Cause Credit Crunchから抜粋)

写真は、インドネシア東ジャワ州マゲタンの田園に墜落して炎上したインドネシア空軍のヘラクレスC130輸送機(AFP 20 May 2009)、少なくとも97人が死亡(BBC)。